インボイスよくある勘違い (事務所通信「TaxNews2023年11月号」より)

令和5年10月1日からインボイス制度がスタートしました。1か月ほど経ちますが様々な混乱、疑問等が噴出していることと思います。陥りがちな勘違いについてピックアップし、解説いたします。

Ⅰ 出張旅費特例の勘違い
旅費、宿泊代については特例があるのでインボイス保存不要だと考えている

インボイスの保存が不要とされるのは旅費規程で定めている「日当」や地域ごとに金額を固定しているような「出張手当」そして通勤手当のうち、その旅行等に通常必要と認められる部分の金額となります。実費精算される旅費や宿泊費については原則通りインボイスの保存が必要です。
※この特例の適用を受けるには帳簿に支給を受けた使用人等の名前等の記載が必要です。

Ⅱ 交通費特例の勘違い
駐車場代(コインパーキング)について当社は旅費交通費として会計処理しているのでインボイス不要の特例の適用があると考えている

インボイスの交付義務が免除されるのは3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です。
◆公共交通機関に該当・・・・バス、電車、新幹線、モノレール等
◆公共交通機関に非該当・・・タクシー、飛行機、コインパーキング等
※この特例の適用を受けるには帳簿に「3万円未満の鉄道料金」等の記載が必要です。

Ⅲ 自動販売機特例の勘違い
ETCの利用にあたってはインボイスが発行されないためインボイス不要の特例の適用があると考えている 

ETCの利用にあたっては各高速道路会社等のホームページより任意の1取引の利用証明書をダウンロードし、クレジットカード利用明細書と合わせて保存することによりインボイスの要件を満たすこととなります。
◆自動販売機特例とは・・・3万円未満の自動販売機等による商品の販売等はインボイス不要
◆特例の対象となるもの・・・コインロッカー、コインランドリー、ATM等
⇒その機械装置のみで代金の受領と資産の譲渡等が完結するもの
◆特例の対象とならないもの・・・セルフレジ、セルフ給油、コインパーキング、自動券売機等
※この特例の適用を受けるには帳簿に「〇〇市 自販機」等の記載が必要です。

Ⅳ 少額特例の勘違い
自社はインボイス登録事業者であるから支払った費用の全てについてインボイスを保存し、保存していない取引については仕入税額控除ができないと考えている

簡易課税制度を採用している事業者・・・費用についてのインボイス不要
少額特例の適用がある事業者・・・税込1万円未満の費用についてインボイスの保存不要
◆少額特例(令和11年9月30日まで)の対象となる事業者
⇒基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高(注)が5,000万円以下の事業者
(注)納税義務判定とは異なり特定期間の給与支払額の合計額とすることはできません
※少額特例の適用を受けるために上記ⅠⅡⅢのような特例の適用を受ける旨の帳簿記載は不要です。