担保の種類と不動産担保の評価方法について(事務所通信「FinanceNews2021年2月号」より)

竹田・菊地税理士法人 東京事務所の事務所通信の注目記事を抜粋してご案内いたします。
今月は「FinanceNews」より担保の種類と不動産担保の評価方法についてのお話です。

前回は「銀行に提供している担保の外し方」というテーマで、担保の外すテクニックなどについて記載しましたが、今回はそもそもの担保の種類と不動産担保の評価方法などについてお伝えさせていただきます。

【担保の種類】

担保には物的担保と人的担保の2種類があります。

物的担保は不動産や預金などの特定の財産や権利による債権の担保を指します。特定の財産に対して、直接支配できる権利を設定しておき、債務者が融資を返済できなくなった場合に、当該財産から優先的に債務を履行することができるものであり、代表的なものとしては、抵当権や質権などがあります。

一方、人的担保とは保証人を担保とする方法です。債務者が融資を返済できなくなった場合に債務者以外の第3者に債務を負わせることで、代表的なものが、法人が借り入れを行う際に代表者が連帯保証人となるケースです。

今回は前者の物的担保の不動産担保ついて説明させていただきます。

【不動産担保】

 銀行が不動産担保を取る際に2種類の設定方法があります。それが抵当権と根抵当権です。

・抵当権

抵当権は1回の融資に紐づいて担保を設定する場合に利用されます。例えば不動産の購入する際などは抵当権を設定する場合が多いです。また、抵当権には4つの性質があります。

  • 借り入れを完済すれば、抵当権も消滅する
  • 借り入れが他の人に譲渡されれば、抵当権もそれに伴って移動する
  • 借り入れを一部返済したとしても、抵当権も一部消滅とはならない
  • 抵当不動産が滅失した場合に抵当不動産の所有者が受け取る金銭を代わりに受け取ることができる

・根抵当権

根抵当権は抵当権とは対照的で、頻繁に借り入れを行う場合に選ばれます。例えば頻繁に借り入れを行っている会社で、借り入れのたびに抵当権の設定をしていたら手続きも煩雑になりますし、登記のたびに費用も発生します。その無駄を排除したものが根抵当権で、不動産などの担保を差し入れしたら、その担保の評価額の範囲内で極度額を枠として設定できるものとなります。

【不動産担保の評価方法】

銀行が算出する不動産の担保評価額は、土地と建物のそれぞれの評価額に担保の掛け目を掛け算したものをいいます。担保の掛け目は銀行により異なりますが、大体が7~8割ほどと言われています。

・土地評価額=路線価×土地面積

例)路線価(200千円/㎡)×土地面積(100㎡)

  =土地評価額20,000千円

・建物評価額=建築単価×床面積×現在価値割合

現在価値割合は耐用年数に対して建物が建ってからどれだけ経過したかを表すものです。

例)建築単価(木造170千円/㎡)×床面積(120㎡)

 ×現在価値割合(1−経過年数2年/耐用年数22年)

 =建物評価額 約18,544千円

担保評価額=(土地評価額+建物評価額)×担保掛目 
(20,000千円+18,544千円)×7割=26,980千円

これはひとつの算出例です。目安としてください。

【最後に】

銀行が行う不動産の担保評価は、実勢価格と比べて低く見積もられているケースが多くあります。

その理由として銀行は担保物件の抵当権等を行使して、担保物件を売却し、借り入れの残債の補填にします。競売になると、実勢価格よりも通常は安く処分することになります。銀行の不動産評価は処分目線で見ますので、評価は低くなります。

財務内容が良くない会社に対して、銀行は担保提供を要求してくる場合が多いです。財務内容を良くすることを意識し、不要な担保提供をしないようにしましょう。