【債務者区分とは】
各金融機関では、全ての融資先に対して少なくとも半年に1回「自己査定」という作業を行っております。
これは回収できる可能性が低い貸出債権(融資金)を精査し、それに対して早期に貸倒引当金を積むことを目的としているものであり、その結果、融資先に対して債務者区分を付することとなります。
各金融機関によって名称は異なる場合もありますが、一般的に債務者区分は上記の自己査定によって、①正常先②要注意先③要管理先④破綻懸念先⑤実質破綻先⑥破綻先の6区分に分けられることとなり、下の区分になるほど悪い状況の区分となります。判定方法は下記にも記載致しますが、融資先の財務状況、資金繰り、収益力等により判定します。
【各区分の定義】
【実際の判定方法】
各金融機関はマニュアルをそれぞれ作成しておりそれに則った形で判定を行っており、決算書の数字による定量評価と数字以外の部分で評価する定性評価の合計で判定されます。
定量評価は、財務状況と融資の返済状況を見て、損益計算書(PL)の経常利益あるいは当期利益が赤字かどうか、その赤字年数が連続で続くほど債務者区分は悪くなります。また貸借対照表(BS)の純資産がマイナスかどうか(いわゆる債務超過かどうか)を見て、債務超過であれば債務者区分は悪くなります。またこの純資産は、決算書の表面上の数字ではなく、不良資産や土地の評価等を加味した実態の数字での純資産額で判定することとなります。
定性評価については市場価値や経営者の資質、事業の将来性を担当者が判断することとなりますので、社長自らの言葉で担当者へ話すことで、プラスの評価を得られることもあります。
【融資スタンスについて】
債務者区分によって各金融機関は融資スタンスを大きく変えてきます。正常先であれば、基本的にはスムーズに融資を受けることができますが、要注意先になると、新規融資が難しくなる可能性があります。審査が通ったとして、様々な資料提出や説明を求められた上で、減額となったり金利が高いという可能性もあります。更に要管理先以下になると新規融資は難しくなり、基本的には早期に回収できるかどうかの目線となります。
【まとめ】
上記に述べた通り、正常先と要注意先以下では融資スタンスが大きく異なってきます。赤字になってしまったら、決算説明の際に一過性の赤字であることや今後の方針を明確に伝えることが大切です。また、仮に赤字になりそうだという場合には、事前に借りられるうちに借入をしておくことが重要です。手元現預金を潤沢にしておけば、いざ赤字となった場合にも借入の返済資金に頭を悩ますことなく、黒字に向けた行動に注力できますので、まずはいつ何が起きても良いように、手元現預金の確保に努めてもらえればと思います。