家賃の支払いとインボイス制度(事務所通信「TaxNews2022年6月号」より)

事務所や店舗の事業用などの家賃には、アパートなどの居住用の家賃と違い、消費税がかかっています。
インボイス制度の開始後は、相手先の登録番号を把握しなければ、仕入税額控除(消費税の控除)が認められません。今回は、インボイス制度における事業用の家賃の消費税について、注意点をお伝えします。

Ⅰ もしも、不動産オーナーが免税事業者だったら・・・

 不動産の所有者(貸主)が免税事業者(年間の課税売上1,000万円以下)の場合、借主は支払った消費税相当額の仕入税額控除ができず、消費税相当分が家賃の値上げとなり借主側で負担することになります。
 そのため、現在借りている物件の貸主が課税事業者なのか、免税事業者なのか、確認する必要があります。
 貸主が免税事業者だった場合、借主側は貸主と値段交渉をし、消費税分は減額してもらうか、減額が出来ない場合には、値上げを受け入れる、他の場所を探すなど判断すべき時期が迫っています。

Ⅱ 令和5年10月までに契約更新がある場合の書類の保存について

 貸主が課税事業者であった場合、インボイス制度開始後は、原則として適格請求書等(インボイス)を保存することが必要です。毎月の家賃の支払いの場合、請求書等は交付されないことが一般的だと思います。この場合、通帳などで取引日を確認でき、契約書に他のインボイスの必要事項が記載されていることをもってインボイスの保存にかえることができます。今後、契約する賃貸借契約書には登録番号等が必要になります。

Ⅲ 令和5年10月までに契約更新がない場合は・・・

 令和5年10月前から既に賃貸借契約を結んでいる場合、登録番号、適用税率や消費税額等が賃貸借契約書に記載されていないことが想定されます。この場合、新たに賃貸借契約書を結び直す必要はありませんが、不足情報について貸主から別途通知(メールでも可)を受け、賃貸借契約書とともに保存する必要があります。

※アパートやマンションなど住宅の家賃には消費税がかからないので、インボイス対応は不要です。