「扶養の範囲内で」はいくらお得?(事務所通信「TaxNews2022年4月号」より)

 4月になり、新たな学生バイトを採用する会社も多いのではないでしょうか。その際、「扶養の範囲内で働きたい」という学生バイトが多いはずです。実際、「扶養の範囲内で」はどれぐらい税金がお得なのでしょうか。

Ⅰ バイトのシフトが組めない!?

 令和3年10月より、東京都の最低賃金が1,041円となりました。その他の地域でも全国平均1,000円を目指して上昇しています。そのため扶養の範囲内(給与年収103万円以下)で働きたい人は、働く時間が減りますが、雇う側からすれば、シフトに入れる人が減ったり、より細かくシフトを組む必要があり、悩みの種となっています。

Ⅱ 「扶養の範囲内で」はいくら親の税金が減る?

Ⅲ 「扶養の範囲内で」を超えて働くと、どうなる?(社会保険も含めて検討)

 扶養の範囲を超えて働く場合、注意しなければならないのは130万円の壁です。年間130万円を超えると学生バイト自身が社会保険に加入しなければならず、毎月約1.5万円の社会保険料の負担が発生します。学生バイトの時給を1,000円、親の年収を1,000万円以下(Ⓐ又はⒷ)と仮定すると以下のとおりです。家族全体で考えて、親の控除減少と学生バイトの収入増を相殺するなら、270時間の労働に対して、お得感は少ないように思えます。

Ⅳ 主婦(夫)パートの活用を検討してみては?

 主婦(夫)パートの場合、103万円を超えると扶養控除がなくなる学生バイトと異なり、配偶者の年収が1,095万円(所得金額調整控除で1,110万円)までは配偶者特別控除として、配偶者控除と同額の38万円が控除されるため、主婦(夫)本人が103万円を超えても扶養による税額の軽減が維持できます。この場合、収入増によるメリットのみ享受できるため、主婦(夫)パートは103万円を超えてもお得感があります。
 しかし、注意点として、学生バイト、主婦(夫)パートともに扶養控除を適用する側の親、配偶者の勤める会社で扶養手当などが支給される場合、103万円を超えて働くと手当を貰えないことがあるのでご注意ください。